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56●岡山県 高齢者主張大会応募作品戦争の傷跡掲載日:平成20年 八年間に及んだ愚かな戦争、あの戦争で戦死者と空襲による犠牲者は合わせて三百十余万人もの尊い命が失われたのである。 そして六十三年経た現在は、平和で豊かな送日をしているが、現在でも戦争の傷跡に苦しんでいる方々の事を思うと、心が痛むのである。 私どもは小学生の頃より「お国の為には一身を捨てて」の教育を受け、それを実践してゆかれた方々も大勢おられるのである。ここで私は教育の恐ろしさをつくづく感ずるのである。 私は昭和二十二年に農家へ嫁いできたが、彼は昭和十七年旧制中学を卒業して国鉄広島鉄道局岡山工事部に勤務していて、鉄道の修復工事、新設等の為に測量して設計等をしていた。 ところが十九年に入り召集令状により、陸軍広島師団に入隊、二十年八月六日の原子爆弾で被爆したが、身体に数ヶ所の負傷はしたけれど、奇跡的に命拾いして元の職場に復帰していた。 山陰方面へ新婚旅行の夜「オレは現在の仕事に夢を持っており、定年まで続けることを生きがいとしたいので、両親と百姓をしてくれ…」と言うので、「勿論よ、私、百姓は好きだから」と。 国鉄では毎年四月に身体検査があり、元気で勤務していた夫が三十六年の検査で肺の異常が分か

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