新しいブック
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94 「兄嫁の死」 実家の父の葬儀の時、早く帰郷して葬儀を仕切ってくれていた姉が約一ヶ月後より体調を崩して精密検査の結果は進行性肺癌の手遅れとのことで入院治療は続けていたが五月九日、急変の報せで夫と新幹線で上京したけれど臨床には会えなかったのである。 享年四十九歳の短い生涯であった。この時点で兄は妻を亡くし、高校生と大学生の二人の子供の親としての心中は如何ばかりだったであらうか。又、二人の子供達の心をも私には痛いほど解るのである。 そして私達は帰りの新幹線の中で人生には試練もあればそれが好転されるばかりでもなく不幸へとなることもあり得ると話し乍ら帰途に着いたのである。 「継母の墓参」 私はお盆や彼岸が巡ってくると実家茶屋町の墓参りにはバイクで独りで何時も行っているが赤磐の山深き地に眠る継母のことが浮んでくるが、私は嫁いできた身であり、夫にも言い出す勇気が無かったが、義父を39年6月に見送り、義母を51年4月に見送り、53年に義父の13回忌と義母の3回忌法要を終えた翌年の54年になり夫に「赤磐のお母さんのお墓にお詣りしたいんだけど、交通の便の悪い所でどこの駅で降りたも覚えていないの、貴方が車で連れて行ってくれたら有難いんだけどナ…。」と。すると

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